ヒトの免疫 と 菌

免疫の仕組みと菌の関係

免疫で大事な3つの働き

免疫系の仕組みは、『抗原を感知して攻撃する』『抗原を記憶して将来の攻撃に備える』『危険ではない抗原を見極めて攻撃を抑える』という3つの働きがバランス良く発動されて、正常に成り立つそうです。

ポイントは、大多数の抗原が危険ではないということ。
ヒトが生活する中で出会う抗原は、ほとんどのケースで、感染症とは関係のないものばかりらしく、世界のほぼすべての感染症を引き起こしている菌(ウイルス・細菌・原生生物)は100種にも満たないともいわれています。

そして、大多数の抗原は危険ではないにも関わらず、過剰に攻撃する免疫系の仕組みが働いてしまうことが、アレルギーや喘息などが急増している大きな原因だと考えられています。危険ではない抗原にも攻撃する働きが過剰に働いてしまい、炎症反応が起きているらしいのです(慢性炎症性疾患と表現されます)。

どんどん増えていくアレルギーなどの症状を持つヒトの数。どうしたらいいものか。。。
「衛生仮説」「生物多様性仮説」「旧友仮説」などを提唱する学者の皆さんが、打開策を研究してくれているようです。

アレルギーを持たないヒトに多く住み着いている菌

免疫系が正常に機能するためには、『攻撃する』『将来に備える』『制御する』という3つの働きがバランス良く発動される必要がある。そして、『制御する』という働きがうまく発動しないことがアレルギーの大きな原因の1つだといわれています。(参考:国立成育医療研究センター「アレルギー」

最近の研究では、ヒトが身体の維持に必要な菌を保有しなくなってきたことが、免疫系の働きのバランスが崩れた大きな要因ではないかという説が多数あります。

ヒトの身体の維持に必要な菌はいろいろ紹介されており、腸の中に棲む善玉菌なんかは、とてもよく知られたものです。
善玉菌はヒトの身体の内側の話ですが、身体の外側・皮膚にも、必要な菌があるようです。例えば「ガンマプロテオバクテリア(ガンマプロテオバクテリア網の細菌)」。土壌や木や草、さらには、犬や牛や馬など、自然に多く触れる環境で生活する人ほど、たくさん持っているという研究結果があります。

( 参考:「Acinetobacter species in the skin microbiota protect against allergic sensitization and inflammation」)