胃潰瘍は感染症?生活習慣病?

胃潰瘍も感染症?のイメージ

大前提がひっくり返った病気、胃潰瘍

長らく『ストレス』と『カフェイン』 が原因だと信じられていた胃潰瘍。その考え方は、今でもすっかり巷から消え去ったわけではなさそうです。

かつては、胃潰瘍も生活習慣病のひとつだとみなされて、習慣を変えれば問題は解決すると思われていました。大敵はストレスとカフェイン。だから、ゆったりくつろいでお水を飲んだら大丈夫、という具合です。
辛いのは、治らないのが患者自身のせいだと判断される傾向もあったこと。治らないのは医師の指導に従わずストレスを放置している患者が悪いのだといわれることもあったそうです。

上記の時代を経て、今では、胃潰瘍の原因はヘリコバクター・ピロリという細菌だと判明しています。
ストレスとコーヒーはたしかに胃潰瘍に伴う痛みを悪化させはするけれど、根本的な原因ではなく、付加的な要素に過ぎないのだと考えられているとのことです。

つまり、胃潰瘍は、生活習慣病という大前提がひっくり返って、感染症なのだと認識されるようになったわけです。現在は抗生物質での治療が安価で有効だと実施されています。

この大変化の背景には、ロビン・ウォレン氏とバリー・マーシャル氏という2人のオーストラリア人科学者による激烈な戦いとも表現できるほどの主張がありました。
真相を突き止めたにも関わらず、科学界から強い抵抗にあい、自分達の説の正しさを証明するためにピロリ菌の溶液を飲んで胃炎になることまでしたとのこと。それでも、医学会で胃潰瘍が感染症だと認められるまでに15年もかかったそうです。

現状で信じられている医学が必ずしも正しいとは限らない
胃潰瘍という例を教訓にしながら、常に意識したい姿勢だと思います。